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JASRAC

ブロックチェーン技術を活用した楽曲管理システム KENDRIX

日本音楽著作権協会(JASRAC)による改竄不可能なブロックチェーン技術を活用した存在証明機能付き楽曲管理サービスをSun*で開発支援しました。音楽業界では楽曲制作からPR、マーケティングまでを個人で完結して行うDIYクリエイターが増えています。一方で、彼らは自身で著作物を守り、著作権利用料を確保するためには、著作権への理解が必要で、高いハードルとなっています。KENDRIXはこの課題に対し、著作権の理解がなくても自身の楽曲を守り、著作権利用料を受け取れる仕組みとして誕生しました。

Summary

クライアントの課題

  • ブロックチェーンを用いたサービス開発の実績と知見のあるパートナーと伴走したい
  • サービスアイデアを具現化するために仕様検討や設計書作成から支援してほしい
  • ユーザーの声が反映されたサービスにしたい
  • リリース後も機能拡張や継続的な支援をして欲しい

Sun*の課題に対する対応

  • ブロックチェーンに精通したメンバーをアドバイザーとしてアサインし最⼤14⼈の開発体制で伴⾛
  • ペルソナと課題の設定、問いのデザインを通じ顧客とソリューションの解像度を上げ仕様を策定
  • ユーザーインタビューやPoC、MVPによる実証実験のプロセスから得たニーズをサービスに反映
  • リリース後も柔軟に体制を変更し追加の機能開発やサービス拡⼤に向けて継続的に⽀援

リリース後の成果

  • 当初のスケジュール通りにサービスをリリース
  • リリース後も継続的なアップデートに向け開発を進めている
  • クライアント社内で新規事業としてサービスの内容・プロジェクトの進め方、共に定評があり、業務の見直しや今後の取り組みについて議論がされるようになった

KENDRIXとは

権利(KENRI)をDXする

JASRACは、音楽クリエイター自身が運営・意思決定に参画する一般社団法人で、膨大な数の管理楽曲をデータベース化し、演奏、放送、録音、ネット配信などさまざまなシーンにおいて、ユーザーが管理楽曲を簡単なライセンスと適正な料金で利用することができる役割を担っています。世界にも類を見ないきめの細かな管理が行われており、発生した使用料は、作詞者・作曲者・音楽出版社など権利を委託したクリエイターに分配される仕組みを持っています。クリエイターにとっては、いわばライフラインと同様の存在です。



昭和14年に設立されたJASRACは、著作物がデジタル化され世界をかけ巡る時代を迎えた今、デジタル化・ネットワーク化時代の著作権管理のあり方を追求しています。その取り組みの一環として、音楽クリエイターが安心して楽曲を発表し、適正な対価還元を受けるための各種手続きのハードルを下げることを目的としたクリエイター向けDXプラットフォーム「KENDRIX」が構想されました。


音楽業界とクリエイターの課題

DIYクリエイターへの著作権使用料の分配

昨今、音楽業界では著作権等を管理する事務所に所属せず、クリエイター自身で音楽を作り、配信を行うDIYクリエイターが増加しています。一方で、クリエイターとして創作活動を行う傍らで、自ら著作権を管理するのはハードルが高く、またストリーミング等の音楽配信から得られる直接の収益とは別に、JASRACを通じ著作権料の分配を得られることが知られていない、などの社会課題がありました。



ユーザー(クリエイター)側の課題は、著作権管理の難しさや、JASRACとの契約や楽曲の届け出が複雑・煩雑であること、また、自身の楽曲が無断利用された際やなりすまし公開されたときに、対抗する手段がない、という課題がありました。



これらの課題に対して、KENDRIXでは、申請や契約を定型化、また無駄を省いたシステムにすることで、オンラインで簡単に楽曲の著作権管理ができるような機能を提供しています。さらに、ブロックチェーンを活用することでクリエイター自身が楽曲を保持していることを証明できる機能を提供することで、楽曲の不正利用を抑止しています。


KENDRIXの主な機能

不正利用を抑止する「存在証明」機能

不正利用を抑止する「存在証明」機能では、まず制作した音源ファイルをKENDRIXに登録します。音源を登録すると、バージョン名、著作者、楽曲ファイルのハッシュ値*、記録⽇時がブロックチェーンに記録され、存在を証明できる公開用のURLが発行されます。そのURLを、クリエイター自身がソーシャルメディアやYouTubeで楽曲を公開する際に記載することで、誰がいつ登録したものかを証明でき、無断利用等の抑止につながることが期待できます。


SDK導入によるメリット

新規に開発された権利管理ブロックチェーンシステムを採用

KENDRIXのコアシステムには、ソニーグループ株式会社Technology Infrastructure Centerが開発する権利管理ブロックチェーンシステムが採用されています。これらの機能をスクラッチで開発した場合、コストも時間も掛かりますが、このSDKを導入したことで、開発のコストを抑え、短期間でのリリースを実現しています。


開発はブロックチェーンに精通したメンバーをアドバイザーとしてアサインし、日本とベトナムで最⼤14⼈の体制をつくり、要件定義からリリースまでを伴走しております。


得られた成果と今後の展望

アジャイルから得た業務見直しのヒント

サービスは当初のスケジュール通りにリリースされ、今後も利便性や価値を向上させるために、継続的なアップデートや機能追加を行う予定です。JASRACでは、これまでユーザー中心設計を採用し、アジャイルやスプリントの手法を取り入れたサービス開発の経験がありませんでしたが、今回の開発を通じSun*のサービスの内容やプロジェクトの進め方について評価いただき、業務の見直しや今後の取り組みについて議論されるようになりました。今後もJASRACの価値創造・DXのパートナーとして継続的な支援を行って参ります。

クライアントの声

一般社団法人 日本音楽著作権協会(JASRAC)
KENDRIXプロジェクトチーム
プロジェクトマネージャー
JASRAC常務理事
中戸川 直史氏

Sun*のKENDRIX担当の方は、KENDRIXがターゲットとする音楽クリエイターと同世代で、音楽やエンタメを愛している方がとても多いです。KENDRIXを通じて音楽クリエイターの抱える課題を解消したいというJASRACのコンセプトにも強く共感してくださり、デザインや機能に関するご提案をどんどん出していただいています(時にはユーザを増やすためのプロモーション施策に関するアイデアも!)。 ある機能を開発するために、Sun*の皆さまがJASRACの業務要件のヒアリングを行い、現状(AsIs)のワークフローを整理していただいた結果、システム開発とは直接関係のない部分でしたが、ユーザへのサービスレベルを損なっているワークフロー上の課題点についてご指摘いただき、実際にJASRACの制度とワークフローの変更に繋がったこともありました。 このような体験を通じて、クライアントではなく、サービスのユーザを第一に考えてくださることが、私たちにとってとてもありがたいことだと実感しています。今後も「権利のDX」を通じて、デジタル領域に留まらないさまざまな化学反応が誘発されることに期待しています。

Project Info

Client

日本音楽著作権協会(JASRAC)

Service

KENDRIX

Sun* Team

Project Manager

UI/UX Designer

Sysyem Engineer

Project Leader (BrSE)

Server-side Engineer

Frontend-side Engineer

Infrastructure Enginee

QA

Solution

要件定義・仕様策定

UI/UXデザイン

設計

開発実装

インフラ構築

事例・実績ブロックチェーン技術を活用した楽曲管理システムKENDRIX