Voices

TOP

>

Voices

意思決定に踏み込むデザインで、会社と事業を動かす

更新日: 2026年10月2日

意思決定に踏み込むデザインで、会社と事業を動かす

Sun*における「デザイン」とは?デザイナーにはどのような活躍の場があるのか?

今回は、会社設立から5年ほどのタイミングで入社し、デザイナーとして多様な経験を積んできた南へのインタビュー。

南は、ベトナム・ハノイでのデザインディレクション、大手企業のDX・新規事業立ち上げ部門でのUXデザイン支援、組織マネジメントなどを広く経験。現在はひとりのデザイナーとして現場課題に向き合いながら、CEO室のメンバーとして自社のカルチャーづくりや、デザイナーの価値向上に取り組んでいます。制作から事業開発、さらには組織づくりまでを駆け抜けてきた南に、これまでの歩みとSun*で働く魅力、そしてこれからの展望について語ってもらいました。

フリーランスからスタートアップ、事業会社まで。現場で磨いた「何でもやる」スタンス

私がデザインの仕事を始めた時期は、今振り返るとかなりタイミングが良かったと思います。大学在学中くらいにGoogleで検索することが一般に浸透してきて、デザイナーがデジタルでデザインを作ることが普及し始めたようなタイミングで、Webデザインの仕事が職業として成立することがわかってきた頃でした。在学中からWeb制作の手伝いやアルバイトをして、そのままフリーランスのWebデザイナーとして独立しました。

当時はデザインと開発の境界が今ほど明確ではなかったので、自分でデザインからコーディングまで手掛けていました。しばらくフリーランスとして活動した後、知人に誘われてベンチャー企業に入社しました。「スタートアップ」という言葉すらまだ無いような頃に、渋谷のマンションの一室で、自社サービスを企画しつつ受託制作もこなす、いかにもベンチャーらしい環境でした。

ただ、ここではなかなかうまくいかず、デザインや制作のスキルをもっと身につけたいと考えて、小規模なWeb制作会社へ転職しました。そこでもWebデザイナーとしてクライアントワークに携わり、2011年の東日本大震災の時期まで制作の現場で活動していました。

長くクライアントワークを続けるなかで、一度事業会社を経験してみたいと考えるようになり、株式会社Speeeへ転職しました。当時のSpeeeは転換期というか、元々のSEO事業を軸にしつつ、ライフスタイル事業として新規事業を急速に立ち上げていた時期でした。そのなかで私は、不動産関連サービスを運営・開発する部署に入りました。元々はWeb制作のスキルを期待されて入社したのですが、立ち上げ期の事業なので、文字通り「何でもやる」スタンスでいました。制作だけでなく、ブランディングやUXデザイン、果てはカスタマーサポートの体験まですることができ、デザインの幅を広げることができたと思っています。

「ベトナムで一緒に働こう」の言葉に惹かれ、立ち上げ間もないデザインチームへ

2年ほど働いた頃に、以前の職場で知り合って友人関係だったエンジニアの船木さん(現・Sun*執行役員)から「Sun*に来ない?」と声をかけられました。ちょうど、制作会社も事業会社も両方経験して、どちらの良いところもわかった上で、これからどうするかを考えていた時期でした。「ベトナムで仕事ができるよ。一緒に行かない?」と誘われて、今までの経験を活かして全く違う方向性で新しいことができそうな期待感から、入社を決めました。

そこから2年間はベトナムのハノイで、現地のデザインチームと一緒に仕事をしました。元々Framgia(Sun*の変更前の社名)が開発を行う会社だったので、日本のクライアントと現地メンバーの橋渡しをしたり、デザインディレクションをしたりするのが主な仕事でした。UXデザインについては、正直そこまで関わる機会がなかったですね。

当時のSun*はまだ日本に30名ほどの規模で、オフィスも雑居ビルの一室。日本にはデザイナーが1人もおらず、ベトナム側に日本人メンバーが数名いるような環境でした。案件も、役員の知り合いが営む相撲部屋のWebサイト制作で写真を撮りに行ったり、社内イントラサイトを作ったりと小規模なWeb制作が中心でした。

自分としてはUXデザインの重要性を感じていて、「もっとSun*でもやっていかなければいけない」という想いがありました。一方で、Sun*のワークフローにはまだ定着しておらず、ただ「やっていこう」と言い続けていた感じでした。

「デザインで事業が前に進む」実感。常駐支援からリードデザイナー、そしてCEO室へ

ベトナム赴任から2年が経った頃、大手クライアントのDX支援プロジェクトが立ち上がり、これが日本へ帰国するきっかけになりました。クライアント内でDX事業部が発足して、さまざまなドメインで新規事業を立ち上げるところに、Sun*デザイナーも含めて関わるというものでした。

私もクライアントのオフィスにデスクをいただき、それぞれの新規事業立ち上げチームに入っていきました。当時のSun*はエンジニアによる開発支援が多かったのですが、現場の困りごとを聞いていくと、具体的な制作に入る以前の企画段階でストップしているケースが多かったんです。

象徴的だったのは、後に新会社として設立されることになる、物流事業者向け配車支援サービスのプロジェクトです。ビジネス側のメンバー2名で事業立ち上げの準備を進めていたのですが、リサーチや事業計画の立案は進んでいたものの、具体的なサービスの形が決まっておらず、模索していました。そこにユーザー中心設計の思考を持ち込んだり、ユーザー体験を具体的に形に示していくと、ぐっと検討が前に進んだ感覚がありました。「デザインで事業を前に進められるんだ」という手応えを感じた経験でしたね。クライアントも最初はそこまでの動きは期待していなかったと思うのですが、「こうして具体的にしてもらえると実感が持てる」と評価してもらえて、当初は予定していなかった領域もご支援させていただけるようになっていきました。

以前からSun*には「我々はこの仕事以外できません」と言わない文化があります。事業の現場を観察すると「これはUXの話だな」とか「ブランドの考え方がないから意思決定がうまくいかないんだな」など、デザインのアプローチで解決できる課題が見えてくるので、「こういうことをやっていきましょう」と徐々に染み出していきました。当時は今ほどサービスラインナップも細分化されていなくてカオスでしたが、目の前にある課題に対してUXライティングもやるし、ブランディングもやるし、要件定義もUIデザインもやる、という感じで機動的に動いていました。

その後は、Sun*のなかでも新規事業支援に特化した組織が立ち上がったので、デザイナーとして活動しつつ、デザイン組織のマネジメントもいくつか経験しました。徐々にDXやコンセプトデザインなど、今のSun*のUXデザイナーが入るような案件が増えてきて、リードデザイナーをしながらマネジメントの比重が増えていきました。

子供が生まれて育休を取得したのを機に、復帰後はマネージャーから離れて、現在はデザイナーとして活動しています。また、2024年頃からはCEO室も兼務しています。CEO室のメンバーはそれぞれ異なる役割があるのですが、私は代表の考えているメッセージやビジョンを具現化したり、表現したりするデザインの役割で携わっています。

私自身としては、組織全体のなかでのデザインの存在価値を高めていきたい想いです。Sun*は外からは「デザインが強い会社」と見られることがあります。でも、デザイナー側では「これは自分の実績です」とアピールする人が少なくて、縁の下の力持ちとしてやっている人が多い。CEO室にいる立場としては、そういった価値をきちんと会社に接続して、デザインの必要性を社内外に伝えていきたいと思っています。

常に現場志向で考え、壁を乗り越えることでキャリアが作られる

Sun*に8年いますが、毎年違うことをやっていますね。安定して決まった仕事はなくて、常に悩みのなかにいる(笑)。でも振り返ると、それが良かったんだと思います。道が整備されていて「ここでこう働けば安心だよ」という環境にいたら、もっと先で自分がダメになっていたと思うので、課題を与え続けてくれる環境にはすごく感謝しています。

自分としては、「デザインをもっとうまく使ったら世の中の役に立つはず」という思考をずっと持っていて、どう提案していくかを考えて、いろいろなものを作ってきた感覚があります。

ビジネスとテクノロジーの両輪が大事、というのは共通認識としてありましたが、デザイン/クリエイティブの必要性は、ここ10年くらいでやっと盛り上がってきた話題です。私の考えとして、人が中心にいて、人の体験が良くならないと良いサービスにはならない、と伝えてきました。井上さん(サービスデザイン組織を率いる現在の執行役員)が入社してから、半年ほど「事業を作るにあたってどういう要素が必要で、どう絡み合うべきか」を延々と議論しました。それを「異能の掛け算」という書籍にして外に出せる形にしてくれたことで、打ち出せるようになりました。

私はキャリアプランというものを信用していなくて、設計通りにうまくいっている人はそういないと思うんです。越えないといけない壁が出てきて、なんとか乗り越えた経験でしかキャリアは作られないと思っているので、半分「なるようになれ」というスタンスでもあります。

振り返ってみても、その時々で転機になるプロジェクトに関われて、お客様やメンバーに恵まれて、自分の学びになる経験が多くできたと思います。目の前のことに向き合って「今どうすればいいんだっけ?」と現場志向で考えてきたのが良かったのかもしれません。Sun*では「自分として、どうするのか?」という選択肢が常に投げかけられているので、「だったら自分はこうしてやろう」と考えてきたし、それに対して反対されないことも良かったと思います。自分で決めたことだから自分でやる、というのは精神衛生上、良いのかもしれません。

意思決定に踏み込むデザインの価値を証明し、「Sun*らしさ」を守り続けたい

Sun*の良いところは、みんながポジティブで、良い人が集まっているところです。私はカルチャーを定義するプロジェクトに関わりましたが、すごく好きな部分ですね。AIで作業の効率化が進むなかで、「会社に集まって仕事をする意味って何だろう?」と考えたとき、最後のコアはカルチャーだと思うんです。今の好きなカルチャーやマインドを持った人たちと仕事をしていきたい、というのは強くあります。

逆に課題としては、会社が大きくなり、日本だけでも従業員が500人を超えて、そのカルチャーを維持するのが大変になってきていることです。意識して守ろうとしないと形骸化してしまう。「Sun*らしさ」というエッセンスを保ったまま大きくなるにはどうすればいいか、というのが一番のチャレンジであり課題だと考えています。このカルチャーを持つ会社が上場して存続していること自体が奇跡だと思いますし、自分たちが大事にしていることをねじ曲げずに会社を存続させるにはどうすればいいか、そこに向き合っていきたいです。

自分がデザイナーだからというのもありますが、その鍵になるのが「デザイン」で、今の会社に足りていない部分はデザインなのではという仮説を持っています。外的要因が激しく変わるなかで、自分たちの価値や存在意義を問い続けられている気がします。

デザイナーは、ユーザーやプロダクトに向き合い、より良いものをつくることに強くコミットする職種です。一方で、それだけに閉じてしまうと、事業の重要な意思決定から距離ができ、デザインが持つ可能性を十分に発揮できないこともあります。

だからこそ、私たちはデザイナー自身が事業の意思決定に関わり、デザインがビジネスにどのような価値をもたらせるのかを示していくことが重要だと考えています。

クライアントから与えられた要件に応えるだけではなく、プロジェクトのなかで見えてきた本質的な課題を捉え、新しい問いや提案を持ち込んでいく。時には事業そのものの方向性にも踏み込みながら、デザインの視点から意思決定を前に進める。

こうした役割を担えるデザイナーを増やすことで、Sun*のなかだけでなく、クライアントや社会におけるデザインの価値そのものを、少しずつ広げていきたいと思っています。


南 慶隆 / Yoshitaka Minami

株式会社Sun Asterisk UX Designer

武蔵野美術大学でデザインを学び、Webデザイナーとして10年ほどクライアントワークでWebデザイン、フロントエンドエンジニアなどを経験。事業会社でサービスデザイン、UXデザインなどを経験した後、Sun*(旧社名:Framgia)に入社。ベトナムのハノイで2年ほど業務を行う。2020年はじめに日本に拠点を移し、以降はデザイン組織マネージャーやBPOのデザイナーなどを経験。現在はサービスデザイナーとして新規サービスのブランディング・コンセプト開発支援などを行いつつ、自社のCEO室で経営メッセージやビジョンを具体化・表現する際のデザインを手掛けている。


Sun*デザイン組織に関する情報は、ぜひこちらもご覧ください

Sun* Design Space

https://design-space.sun-asterisk.com

 

関連する募集ポジション

【中途】UXデザイナー