アジャイル開発とは、小さな単位で作業する開発手法です。スピーディかつ柔軟な対応が可能で便利ですが、適切に取り入れないと失敗するリスクもあります。この記事では、アジャイル開発が失敗する要因に触れたうえで、失敗しないためのポイントを解説します。アジャイル開発のメリット・デメリットもまとめているため、ぜひ参考にしてください。
アジャイル開発だからといって失敗しないとは限らない
昨今、アジャイル開発を取り入れる企業が増えています。アジャイル開発はメリットの多さから期待が寄せられているものの、取り入れれば必ず成功するとは限りません。以前主流だったウォーターフォール開発は、開発の要件を最初に決めたうえで開発者に依頼する方法でした。
それに対してアジャイル開発は、要件を決めながら開発、リリースを繰り返す方法です。従来の開発方法とは進め方が異なるため、特徴を深く理解したうえで適切に活用する必要があります。条件によってはアジャイル開発が最適でない場合もあるため、慎重な判断が必要です。
アジャイル開発が失敗してしまう5つの要因
アジャイル開発が失敗する場合、さまざまな要因が考えられます。以下で詳しく解説します。
1.アジャイル開発についての理解が浅い
アジャイル開発は従来と進め方に違いがあるため、開発現場のメンバーだけでなく、依頼側やクライアントも特徴を理解する必要があります。たとえば、アジャイル開発は業務を細分化して開発を進める分、柔軟な対応が可能です。
しかし、依頼側やクライアントが変更に消極的でれば、アジャイル開発の強みを発揮できません。アジャイル開発を成功させるには、目的や重視するポイントを関係者がよく理解することが重要です。
2.リーダーの力が不足している
アジャイル開発を適切に運用するには、細かな要件を的確に取り入れることが大切です。よって、全体の進捗や問題点などを管理するリーダーが必要です。リーダーはプロダクトオーナーであり、プロジェクトについて決定権があります。
リーダーが積極的に開発業務に関わって状況を把握し、問題があれば適宜方向性を修正しなければなりません。リーダーの力が不足していると、アジャイル開発がうまく進まないでしょう。
3.開発を丸投げしてしまっている
従来のウォーターフォール開発では、最初に全体像を定めれば開発側への丸投げも可能でした。しかし、アジャイル開発は細かなサイクルを繰り返す必要があり、開発側に丸投げすると失敗に終わる可能性があります。
全体像を定めずに開発に着手するため、開発中も依頼側が積極的に関与しなければなりません。進捗を適切に確認できていない場合、改善点を見逃してプロダクトの質が下がる恐れがあります。
4.プロセスを模倣するだけになっている
アジャイル開発にはスクラムやXPなどの手法があり、それぞれ基本のプロセスがあります。しかし、プロセスを取り入れて模倣するだけでは、開発を成功させられません。アジャイル開発では取り組みの姿勢やマインドセットも重要です。その点を依頼側や開発側のそれぞれが理解していないと、アジャイル開発の強みを生かせないでしょう。
5.コミュニケーションがうまくいっていない
アジャイル開発では、細かい進捗の確認や方向性の修正などが必要であり、コミュニケーションが重視されています。コミュニケーションに問題があれば、開発が失敗する確率が高くなります。コミュニケーションが不足している場合、提案や意見交換が少なく、チームがうまく機能していません。
アジャイル開発は、外部に委託して取り組むケースもあります。そのため、コミュニケーションがうまく取れないと、期待通りのプロダクトに仕上がらない可能性がある点に注意が必要です。
アジャイル開発を失敗させないためのポイント
アジャイル開発の失敗を防ぐには、どうすればよいのでしょうか。具体的なポイントを解説します。
メリットとデメリットを理解して活用する
アジャイル開発に取り組むなら、事前に特徴を理解しておきましょう。メリットとデメリットの両方を把握し、的確なプロジェクトを実現する必要があります。正しく理解できていないと管理方法や採用などに間違いが生じやすく、失敗の原因になります。アジャイル開発に関わる全員が正しい知識を身につけることが大切です。
関係者に役割を理解してもらう
アジャイル開発では、進捗状況に応じた柔軟な対応が必要です。関係者それぞれが役割を理解し、立場に応じて適切な対応ができるよう準備しておかなければなりません。
たとえば、依頼者は方向性を見極めるために全体を管理する必要があります。リーダーの役割は、スケジュール管理やチームの状況を考慮した方向性の決定などです。メンバーには、品質の改善のために積極的な提案や意見交換が求められます。
プロセスごとの目的を理解し共通認識を持つ
アジャイル開発に取り組む場合、各プロセスの目標を決めて共通認識を持ちましょう。全員が同じ目的意識を持って開発に取り組めば、高い成果を出しやすくなります。そのためには綿密なやり取りが重要であるため、コミュニケーションの活性化を心がけるべきです。
プロジェクト担当者は積極的に参加する
アジャイル開発に取り組む場合、開発側に丸投げしないよう注意が必要です。プロジェクトの依頼側も積極的に運用に参加し、全体像を把握しながらクライアントの要望の実現を目指しましょう。リリースのたびに改善点を見極め、細かいフィードバックを行うことも大切です。
フィードバックが徹底できる環境を整える
アジャイル開発では、プロセスごとに的確なフィードバックができる環境を整備しましょう。アジャイル開発は仕様変更にも柔軟に対応できるという強みがあるため、フィードバックは不可欠です。依頼側が全体像を正確に把握したうえで適切なフィードバックを行えば、プロダクトの質の向上はもちろん、納期の短縮も期待できます。
理解しておきたいアジャイル開発のメリット
アジャイル開発にはメリットが複数あります。具体的なメリットについて解説します。
開発途中でも柔軟に対応できる
アジャイル開発は業務を細かく分解して開発を進め、短期間でリリースを繰り返す手法です。そのため、開発の途中で仕様変更があっても、スムーズに対応できます。
開発側に丸投げしていると仕様変更の際に適切な指示が出せないため、日頃から積極的な関わりをもつことが大切です。スムーズに開発を進めるには全体の管理が重要であり、リーダーが正しく役割をこなす必要があります。
トラブルが発生しても対応しやすい
アジャイル開発は、開発途中で発生したトラブルにも対応しやすい特徴があります。従来のウォーターフォール開発では、トラブルが発生すると修正に時間やコストが多くかかるケースもありました。しかし、アジャイル開発なら、少ない工程で迅速な対応が可能です。リリースごとに精度を高められるため、高品質でクライアントの要望を適切に反映したプロダクトを仕上げられます。
チームワークの高い開発チームで進められる
アジャイル開発は、開発を進めるチーム内のコミュニケーションが活発化しやすい点も特徴です。ミーティングや意見交換の機会が多く、チームワークを高められます。モチベーションを維持向上させながら開発を進められるため、エンジニアの自主性や積極性を引き出しやすいでしょう。
押さえておくべきアジャイル開発のデメリット
アジャイル開発にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。以下で具体的に解説します。
スケジュールをコントロールしにくい
アジャイル開発は開発途中における変更に柔軟に対応できる反面、スケジュールがコントロールしにくい点がデメリットです。仕様変更やフィードバックによる修正が発生した場合、各プロセスのスケジュールがずれる恐れがあります。スケジュールに余裕がないと、納期に遅延したりコストが想定より高くなったりする可能性もあります。
方向性がずれる可能性がある
プロセスごとに方向性を修正すれば、結果として全体の方向性もずれる可能性があります。各プロセスに合わせて仕様変更やフィードバックを行う際も、プロジェクト全体の方向性を大切にしましょう。最終的に生み出されるプロダクトが想定外のものにならないよう、クライアントの要望を正確に反映させる意識が必要です。
プロダクトによって向き不向きがある
アジャイル開発はプロダクトによって向き不向きがあるため、場合によっては開発がうまく進まない可能性もあります。なかには、従来のウォーターフォール開発の方が向いているプロダクトもあるため、それぞれの特徴を考慮して判断する必要があります。
まとめ
アジャイル開発は、従来のウォーターフォール開発の課題をカバーすることが可能です。ただし、アジャイル開発の特徴を理解せずに取り組むと、失敗する恐れがあります。メリットだけでなく、デメリットについても把握し、適切にアジャイル開発を進めましょう。
株式会社Sun Asteriskは、豊富な実績と大規模な開発体制を誇ります。設計から開発まで、一気通貫でサポートできるケイパビリティの広さが強みです。柔軟な開発リソースにより、さまざまな企業の開発を成功へ導いてきました。失敗を防いで最適なプロダクトを生み出すために、ぜひご相談ください。
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