こんにちは。Sun Asterisk クラウド支援サービスチームです。
近年では、DXの推進やクラウドサービスの普及により、多くの企業で業務システムが活用されています。さらに、AIやSaaSとの連携が進み、業務システムには柔軟性や拡張性がこれまで以上に求められるようになりました。
しかし、部分的な改修を繰り返すだけでは、保守性や拡張性が低下し、運用負担が増える恐れがあります。そのため、現在の技術や業務に合わせて業務システム全体を最適化する「モダナイゼーション」が重要です。
この記事では、業務システムのモダナイゼーションの概要や必要なケース、代表的な手法、進め方、費用相場をわかりやすく解説します。
- 業務システムのモダナイゼーションの概要と求められる背景
- システムの改修や連携などモダナイゼーションが必要なケース
- リプレースやリファクタリングなど代表的な4つの手法
- モダナイゼーションを成功させるための進め方とポイント
- システム規模や手法によって変わる費用の考え方
業務システムのモダナイゼーションとは
業務システムのモダナイゼーションとは、販売管理や在庫管理、生産管理、会計などの業務システムを現在技術や業務に適した構成へ見直し、保守性や拡張性、運用効率を高める取り組みです。
単に古いシステムを入れ替えるだけではなく、既存システムの状態や業務に合わせて、必要な部分を改修したり、クラウド環境へ移行したりするなど、最適な手法を選択します。また、他システムとの連携やAIを活用しやすい基盤を整えることも目的のひとつです。
自社の業務や将来の変化に対応できるシステムへ継続的に改善していくことが、業務システムにおけるモダナイゼーションといえます。
併せて読みたい:モダナイゼーションとは?DXとの違いや業務システムの刷新手法・手順を徹底解説
業務システムのモダナイゼーションが求められる背景
業務システムのモダナイゼーションが求められる背景には、長年の改修によってシステムが複雑化し、DXや新しいデジタル技術の活用を妨げている現状があります。
IPAは、産業界におけるDXやレガシーシステム脱却の進捗について、依然としてスピード感に欠けると評価しています。古い業務システムでは、プログラム同士の依存関係や独自仕様が複雑化し、新機能の追加や他システムとの連携に多くの時間と費用がかかるケースも少なくありません。
クラウドサービスやAI、データ活用を前提とした業務環境へ対応するには、部分的な改修による延命だけでなく、将来の変化にも対応できるシステム基盤へ見直すことが重要です。このような背景から、従来の延命にとどまる改修ではなく、将来の変化にも対応できる基盤へ見直すモダナイゼーションの重要性が高まっています。
※参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)|DXの現在地とレガシーシステム脱却に向けて
併せて読みたい:モダナイゼーションとは?メリットや5つの手法・事例までわかりやすく解説
業務システムのモダナイゼーションが必要なケース
業務システムのモダナイゼーションは、一定の年数で実施するものではありません。運用負荷や保守性の低下などの課題が目立ち始めたタイミングが検討の目安です。ここでは、モダナイゼーションが必要となる代表的なケースを解説します。
システム改修のたびに時間や費用がかかる
「帳票を1つ追加したい」「入力項目を増やしたい」といった小規模な改修にもかかわらず、影響範囲の調査やテストに多くの時間や費用がかかる場合は注意が必要です。
プログラム同士の依存関係が複雑化し、小さな変更でも広範囲にわたる確認が必要になっている可能性があります。このような状態は、システム全体の見直しを検討するタイミングです。
担当者以外にシステムの仕様を把握していない
設計書と現在のシステム内容が一致せず、「この機能は担当者しかわからない」という状態は典型的な合図です。担当者の異動や退職で保守できなくなるだけでなく、改修のたびにソースコードの解析から始める必要があり、開発期間や品質にも影響します。
属人化が進んでいる場合は、モダナイゼーションを検討しましょう。
クラウドサービスや他システムとの連携が難しい
SaaSやクラウドサービスとの連携が進むなか、APIに対応していない業務システムでは、CSVの出力・取り込みや二重入力が残りがちです。このような運用は業務効率が下がるだけでなく、入力ミスやデータ不整合の原因にもなります。
連携のために個別開発を繰り返している場合は、モダナイゼーションを検討する目安です。
業務システムにおける代表的なモダナイゼーション手法

業務システムのモダナイゼーションは現在のシステムの状態や課題、予算、将来の運用方針によって最適な手法が異なります。ここでは、業務システムでよく採用される代表的な4つの手法を解説します。
併せて読みたい:モダナイゼーション手法一覧|種類や選び方、進め方を解説
リプレース|システム全体を新しい環境へ刷新する
リプレースは、現在利用している業務システムを廃止し、新しい業務システムやSaaSへ置き換える手法です。長年の機能追加で独自仕様が増え、改修の負担が大きくなった場合に適しています。
販売管理や会計システムなどを現在の業務に合わせて見直せますが、データ移行や運用変更も伴うため、十分な計画を立てて進めることが重要です。
リライト|ソースコードを書き換えて保守性を高める
リライトは、業務システムの機能や画面はできるだけ維持しながら、古くなったプログラムを現在の開発言語やフレームワークへ書き換える手法です。
ユーザーの操作方法を大きく変えずに最新技術へ対応できるため、現場への影響を抑えながら保守性や拡張性を高められます。業務フローは変えたくないものの、システム基盤を刷新したい企業に適しています。
リファクタリング|機能を維持したままコードを最適化する
リファクタリングは、ユーザーが使う画面や機能は変えず、プログラム内部の構造だけを整理・改善する手法です。「1か所を修正すると別の機能で不具合が発生する」といった密結合の状態を改善し、影響範囲を抑えながら改修できるようになります。
現在の業務システムを継続利用しつつ、開発スピードや保守性を改善したい企業に向いています。
リホスト|システム構成を変えずに実行環境を移行する
リホストは、業務システムのプログラムや構成をほとんど変更せず、オンプレミスからクラウドへ移行する手法です。サーバーの保守期限が近い場合や、インフラ運用の負担を減らしたい企業によく選ばれます。
比較的短期間でクラウド化できますが、システム自体の構造は変わらないため、保守性や機能面の課題は残る点に注意が必要です。
業務システムのモダナイゼーションの進め方

業務システムのモダナイゼーションは専門会社へ依頼するのが一般的ですが、全てを任せきりにすると、期待した成果が得られないこともあります。ここでは、基本的な進め方と担当者が意識すべき点を解説します。
現行システムの課題や目的を明確にする
まずは「何を改善したいのか」を整理することが重要です。たとえば、「改修に時間がかかる」「二重入力が発生している」「保守費用を抑えたい」など、現場の課題を洗い出します。
同時に、「クラウド化したい」「他システムと連携したい」といった目的も明確にしておきましょう。
最適なモダナイゼーション手法と移行計画を決める
課題を整理した後は、リプレースやリライトなど、目的に合った手法を選定します。発注側は提案内容を比較するだけでなく、「なぜこの手法なのか」「他の選択肢ではなぜ難しいのか」まで確認することが大切です。
さらに、データ移行の方法や業務停止期間、段階的に切り替えるかどうかも、この段階で具体的に決めておきましょう。
設計・開発・データ移行を段階的に進める
設計や開発が始まった後も、開発会社へ任せきりにせず、定期的に成果物を確認することが重要です。特に画面レイアウトや入力項目、承認フローなどは、実際に利用する現場担当者にも確認してもらいましょう。
完成後に修正すると工数が増えるため、各工程で認識のずれを解消しながら進めることが成功につながります。
テスト・リリース後も継続的に改善する
リリース後は、システムが正常に動作するかだけでなく、現場で問題なく運用できているかも確認します。ユーザーから寄せられる要望や改善点を定期的に収集し、優先順位をつけて対応することが大切です。
業務システムは導入して終わりではなく、業務や法改正に合わせて継続的に改善することで、長期的な価値を維持できます。
業務システムのモダナイゼーションを進める際のポイント
業務システムのモダナイゼーションは、手法だけでなく進め方にも注意が必要です。判断を誤ると、開発期間や費用の増加、運用開始後のトラブルにつながることもあります。ここでは、特に押さえておきたい3つのポイントを解説します。
併せて読みたい:基幹システム移行の正しい進め方|移行メリットと失敗しないポイントを解説
必要以上に機能追加を行わない
モダナイゼーションを機に、機能を詰め込み過ぎると開発期間や費用が膨らむだけでなく、システムが複雑になり、将来の保守性まで低下する恐れがあります。
まずは現在の課題を解決する機能を優先し、それ以外はリリース後の改善項目として段階的に追加する進め方がおすすめです。
現場担当者を要件定義から巻き込む
システム部門だけで要件を決めると、実際の業務と合わないシステムになる可能性があります。業務に即した仕組みを構築するには、入力項目や承認フローの細かな課題を把握する現場の視点が欠かせません。
要件定義の段階から現場担当者に参加してもらい、設計や画面レビューも実施することで、運用開始後の手戻りを減らせます。
セキュリティ・法令対応は初期段階から検討する
セキュリティ対策や法令対応を開発終盤で追加すると、設計変更や追加開発が発生しやすくなります。アクセス権限やログ管理、個人情報の取り扱い、業界特有の法令・ガイドラインなどは、要件定義の段階から整理しておくことが重要です。
初期段階で必要な要件を明確にすることで、後から大幅な仕様変更が発生するリスクを抑えられます。
業務システムのモダナイゼーション費用は何で決まる?
業務システムのモダナイゼーション費用は、システムの規模や対象範囲、採用する手法によって大きく異なるため、一律の相場を示すことは困難です。一般的に、アプリケーションの変更を抑えて実行環境を移行するリホストは、コードやシステム構成の変更が少ない分、工数を抑えやすい傾向があります。
一方、ソースコードや内部構造を変更するリファクタリングやリライトでは、設計・開発・テストの対象範囲が広がり、費用も大きくなりやすい点に注意が必要です。AWSも、リホストはコードやアーキテクチャの変更を伴わないため、比較的少ない作業量で進められる手法としています。
見積もりを左右する主な要素は、システムの規模や複雑性、他システムとの連携数、データ移行量、既存の設計書や仕様書の整備状況、求められる性能・可用性・セキュリティ要件、テスト範囲などです。
予算を検討する際は、初期の開発費だけで判断せず、移行後のインフラ費用や保守運用費、将来の改修費まで含めたTCO(総保有コスト)で比較することが重要です。
まとめ
業務システムのモダナイゼーションは、古いシステムを新しくすることが目的ではなく、保守性や拡張性を高め、将来の業務変化にも柔軟に対応できる基盤を整えるための取り組みです。自社の課題に合った手法を選び、計画的に進めましょう。
また、業務システムのモダナイゼーションでは、クラウド環境への移行やAWSの活用を検討するケースも少なくありません。
「AWS導入・移行・運用支援ガイド」では、AWSが選ばれる理由や業界別の活用シーン、Sun Asteriskの支援事例に加え、導入・移行・運用・セキュリティ・コスト最適化の支援ポイントを紹介しています。AWSを活用した業務システムのモダナイゼーションを検討する際には、ぜひ参考資料としてご活用ください。
よくある質問
Q 業務システムのモダナイゼーションとはどのような取り組みですか?
Q 業務システムのモダナイゼーションを検討する際、まず何から着手すべきですか?
Q 業務システムのモダナイゼーションはどのような手順で進められますか?
Q 業務システムのモダナイゼーションを成功させるための注意点は何ですか?
Q 業務システムのモダナイゼーションにはどのくらいの費用や期間がかかりますか?
Q モダナイゼーションの検討や実行において外部からどのようなサポートを受けられますか?
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