こんにちは。Sun Asterisk AWSクラウド支援サービスチームです。
クラウド活用が当たり前になった今、老朽化した基幹システムへの危機感はあっても、まだ「自分ごと」になっていない事業担当者は少なくありません。オンプレミスの資産をそのままクラウドへ移行しただけでは、コスト削減や業務効率の向上といったメリットを十分に引き出せません。本記事では、AWSを活用したモダナイゼーションの基本的な意味やメリット、具体的な手法から進め方のポイントまで解説します。
- モダナイゼーションの基本概念とクラウド移行との違い
- レガシーシステムが抱える「2025年の崖」と技術的負債のリスク
- AWSを活用してモダナイゼーションを行う4つのメリット
- AWSへの移行時に検討すべき「7R」のアプローチ
- 現状分析から運用改善に至るモダナイゼーション推進の5ステップ
そもそもモダナイゼーションとは
まずは、モダナイゼーションの基礎知識を解説します。
モダナイゼーションの定義と目的
モダナイゼーションとは、老朽化したシステムや業務プロセスをビジネス価値の最大化という視点から近代化・最適化するアプローチです。目的は、古いIT資産を単に新しくすることではなく、ビジネスの柔軟性と変化への即応性を手に入れることにあります。
単なるリフト&シフトにとどまらず、最新技術と運用プロセスを組み合わせ、ビジネス目標をより迅速に実現する点が特徴です。
併せて読みたい:モダナイゼーションとは?メリットや5つの手法・事例までわかりやすく解説
なぜ今必要なのか?レガシーシステムが抱える課題
レガシーシステムの使用を継続した場合、2025年から2030年にかけて最大で年間12兆円もの経済損失が生じるとされています。また、古い言語を扱える技術者の引退が進み、保守そのものが困難になる人的リスクも表面化しています。
データのサイロ化(分断)も進み、AI活用の妨げとなっている点も見逃せない課題です。
※参考:経済産業省「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」
併せて読みたい:レガシーシステムのモダナイゼーションとは?重要性や成功のポイントを解説
混同しやすい「マイグレーション」「クラウド移行」との違い
マイグレーションは、主にシステムやデータを新しい環境へ完全に移行するプロセスを指すのに対し、モダナイゼーションはより包括的なアプローチです。最新技術に合わせて根本的にシステムを改善し、ビジネス価値を再定義する点が異なります。
一方、クラウドマイグレーションはオンプレミス環境で運用していたシステムをクラウドサービスへ移行する取り組みを指し、モダナイゼーションを実現する手段の1つと位置づけられます。
なぜ今モダナイゼーションが求められるのか
ここからは、モダナイゼーションが単なる技術トレンドではなく、企業の存続を左右する経営課題として求められている背景を解説します。
「2025年の崖」問題と技術的負債
「2025年の崖」とは、老朽化した基幹システムを使い続けることで、将来的に大きな経済損失が生じる可能性を指したものです。多くの企業では、長年の改修や継ぎ足しによってシステムが複雑化し、いわゆる技術的負債が蓄積しています。
その結果、ブラックボックス化や保守人材の不足が進み、改修コストや障害リスクが増大しています。
DX推進における実行フェーズへの移行
これまで多くの企業がDXの必要性を認識し、戦略策定やPoC(概念実証)に取り組んできました。しかし、現在は検討段階から実行フェーズへと移行し、具体的な成果を求められる局面に入っています。
スピーディーな開発や柔軟なサービス提供を実現するためには、クラウドネイティブなアーキテクチャが不可欠です。モダナイゼーションは、DXを構想で終わらせず、ビジネス価値へ結びつける重要なステップです。
併せて読みたい:【2021年版】DXの本質とは? 400以上のDX推進実績を持つSun*が解説!
既存事業と新規事業、それぞれの需要
モダナイゼーションは、既存事業と新規事業の双方で重要な役割を担います。既存事業ではコスト削減や業務効率化、安定運用が求められ、新規事業では市場変化に対応するスピードと柔軟性が重視されます。
これらを実現するには従来のシステムでは限界があり、クラウドを活用した基盤への移行が不可欠です。
AWSでモダナイゼーションを行うメリット
続いては、AWSを活用することで具体的にどのようなメリットが得られるのかを紹介します。
コスト最適化(運用・保守コストの削減)
クラウドネイティブな技術とマネージドサービスを活用することで、インフラやライセンスに関するコストを削減できます。きめ細かい単位でリソースを最適化できるため、全体の費用を抑えられる点が特徴です。
サーバーレスを活用すれば、サーバーの待機費用が不要になり、使った分だけの支払いで固定費をゼロに近づけることも期待できます。
スケーラビリティ・柔軟性の向上
モダナイズされたアプリケーションは変化する需要に応じて動的に拡張できるため、従来のモノリシックな構成より高いパフォーマンスと可用性を実現します。アプリケーション全体ではなく、必要なコンポーネントだけを拡張できる点も強みです。
生成AI・データ活用による新規事業へのスピード貢献
新機能の市場投入スピードが速まり、アイデアのテストや新機能の迅速な導入がしやすくなるため、市場変化への対応力や競争優位性の維持につながります。データ基盤を整理すれば部門横断での分析が可能になり、経験や勘に頼らない意思決定の後押しにもつながるでしょう。
セキュリティ・事業継続性の強化
クラウドネイティブなアプリケーションは回復力があり地理的に分散し自己修復する設計のため、ダウンタイムが減り信頼性が向上します。同じ役割のサーバーを複数台用意し一部が止まっても稼働し続ける構成にすることで、障害時でもサービスを継続できるようになります。
AWSへの移行・モダナイゼーションで検討する「7R」

AWSへの移行やモダナイゼーションでは、全てのシステムを同じ方法で刷新するのではなく、個別に最適な方針を選ぶことが重要です。AWSでは代表的な戦略として「7R」が整理されており、刷新だけでなく「リテイン」や「リタイア」も含めて、要件や制約に応じた判断が求められます。ここでは、それら「7R」を解説します。
併せて読みたい:モダナイゼーション手法一覧|種類や選び方、進め方を解説
リホスト
リホストはアプリケーションを変更せずにクラウドへ移行する「リフト&シフト」型の手法です。改修が少ないため移行工数を比較的小さく抑えられますが、移行後の最適化には別途費用が発生しやすい点に注意が必要です。
リプラットフォーム
リプラットフォームはコアロジックを維持しながら、一部の構成要素をクラウドのマネージドサービスに置き換える手法です。最小限の改修で運用効率を高められる一方、データ移行や検証には相応の工数がかかります。
リファクタリング
リファクタリングはアプリケーションのアーキテクチャそのものを刷新し、クラウドネイティブな構造に再設計する手法です。設計・開発・テストの全工程が大規模になりますが、長期的なスケーラビリティ向上に期待できます。
リパーチェス
リパーチェスは、既存の独自開発システムをSaaSなどの既製パッケージに切り替える手法です。ライセンス費や導入設定費は発生しますが、カスタマイズを抑えれば長期的な保守運用費の削減につながります。
リロケート
リロケートは、ハイパーバイザーレベルでインフラをそのままクラウドへ移す手法です。アプリやOSを変更しないため工数が小さく、VMware環境などを同等のクラウド環境へ移す場合におすすめです。
リテイン
リテインは、法的制約や高可用性要件などから、当面は現行環境での稼働継続が最適と判断されたシステムの現状維持を目的とした手法です。すぐに移行できないシステムに対し、将来の刷新計画とセットで検討されます。
リタイア
リタイアは、ビジネス価値を失った不要なシステムを廃止・削除する選択です。最初にこの判断を行うことで移行対象が絞られ、プロジェクト全体の工数とリスクを現実的な水準に抑えられます。
AWSを活用したモダナイゼーションの進め方

AWSを活用したモダナイゼーションを成功させるには、やみくもに移行を進めるのではなく、現状のシステムを正しく把握し、目的に応じた段階的なアプローチを取らなければなりません。最後に、AWSを活用したモダナイゼーションを進める際の基本的なステップを解説します。
現状分析と課題の可視化
まず、現行システムの機能、性能、技術的負債を徹底的に分析し、具体的な課題を可視化することが重要です。全ての機能を移行する必要はなく、使われていない機能を洗い出しスリム化することが成功への近道です。
あわせてレイテンシやスループットなど非機能要件も文書化し、計画・テストの土台を整えましょう。
目標設定と対象システムの選定
企業目標と技術目標を明確にし、コスト削減や柔軟性向上など具体的なビジネス目標に基づいてモダナイゼーションの動機を特定します。プロダクトメトリクスと運用メトリクスの両面からKPIを設定し、「運用コストを3年で20%削減する」のように数値と期限を用いたゴール設定が、正確な判断につながります。
段階的な移行計画を策定
AWSを活用したモダナイゼーションの移行は、一度に全てを変更せず段階的に進めましょう。複雑さが低く依存関係が少ないシステムからMVP(最小機能製品)として着手し、ビジネス価値を早期に示すことで、信頼を積み上げながら段階的に対象を拡大していきます。
実行・テスト・検証
開発と並行して負荷試験を実施し、想定トラフィックでボトルネックが発生しないか、処理時間が業務要件を満たすかを確認することが欠かせません。本番リリース前にはカナリアリリースなどでリスクを最小限に抑え、新旧システムを並行稼働させながらデータの整合性を確保しましょう。
運用・改善
モダナイゼーションは一時的なプロジェクトではなく、継続的な改善のプロセスとして捉える必要があります。目的を果たしたレガシー機能は計画的に廃止し、KPIに基づくパフォーマンス測定を続けることで、変化に適応し続ける体制維持が期待できます。
まとめ
AWSを活用したモダナイゼーションは、既存システムを段階的に刷新しながら、変化に強いクラウドネイティブな基盤へと発展させていくための有効なアプローチです。成功のためには、「どの手法(7R)を選ぶか」だけでなく、現状分析に基づく目標設定や、リスクを抑えた段階的な移行計画、実行後の運用・継続的な改善までを見据えて設計することが欠かせません。
株式会社Sun Asteriskでは、モダナイゼーション戦略の立案から要件定義、システム開発、運用支援までを一気通貫でサポートしています。モダナイゼーションを単なるシステム刷新にとどめず、事業成長を支える基盤へと発展させたい企業さまは、ぜひ一度ご相談ください。
よくある質問
Q モダナイゼーションとマイグレーションの違いは何ですか?
Q モダナイゼーションを検討する際、まず何から着手すべきですか?
Q モダナイゼーションはどのような手順や流れで進めるのが一般的ですか?
Q モダナイゼーションでよくある失敗例や避けるべき注意点にはどのようなものがありますか?
Q モダナイゼーションの実施にはどれくらいの費用や期間がかかりますか?
Q モダナイゼーションを進める際の社内体制や、外部ベンダーとの連携について教えてください。
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