開発支援事例:日本航空株式会社

日本航空株式会社(以下、「JAL」)が展開する「JALマイレージバンクアプリ」は、日常の買い物における決済や、ステイタスの確認など、日々の暮らしのなかでJALとの接点をつくる役割を担っています。
2025年11月、本アプリは大幅なリニューアルを実施しました。背景にあったのは、ユーザーから寄せられていた「わかりにくい」「必要な情報が探しにくい」という声です。
Sun*は、このリニューアルをデザイン・開発の両面から支援しました。スケジュールが厳しいなか、なぜ大幅刷新を実現できたのか。JALの本アプリ担当者(以下、「JAL担当」)と、プロジェクトのPMを担当したSun*の松田に、リニューアルの狙いと開発の舞台裏について話を聞きました。
日常のなかでJALとつながるアプリへ
――まず、今回リニューアルされたアプリの役割を教えてください。
JAL担当:私が所属しているマイレージ事業部では、航空以外の領域でもマイルをつかったり、ためたりしていただくことを促進しています。買い物だけでなく、JALでんきや家電レンタルのJALでkariteco、JAL光、JALモバイルなど、日常生活のなかでもマイルをためられる場面が広がっています。
アプリを通じて、日々の暮らしのなかでJALを感じていただき、ためたマイルを次の旅や非日常の体験につなげてもらうことが大きな目的です。
JALマイレージバンクアプリの担当者
――リニューアル前のアプリには、どのような課題があったのでしょうか。
JAL担当:まず課題としてあったのは、情報の整理です。マイルを日常でためる・つかう「マイルライフ」の訴求に加えて、JAL Life Status プログラムなどのステイタス訴求、さらにスマートフォン決済のJAL Payの認知・利用促進も必要でした。一方で、お客さまからはアンケートなどで「何がどこにあるのかわかりづらい」という声をいただいていました。
旧アプリでは、情報自体は並んでいたのですが、ユーザーにとって探しにくく、わかりにくい状態でした。例えば、JAL Payは一つの画面にまとまっていたものの、アプリを開いてすぐに決済画面が見える位置にありませんでした。ステイタスについても、十分に面を取って訴求できていないという課題がありました。
アプリの立ち上げから一定期間が経ち、ユーザーの声や利用状況が蓄積されたことで、部分的な改善ではなく、アプリ全体の体験を見直すタイミングを迎えていました。
情報を整理し、ユーザーの行動につながるUIへ
――今回のリニューアルでは、どのようにアプリの体験を再設計したのでしょうか。
JAL担当:スコープをはっきり絞っていきました。JAL Pay・ステイタス・保有マイル数という主要な情報を整理し、それぞれが伝わりやすいよう、タブで表示する構成にしました。
これまでは一画面で、縦にスクロールしなければ見られない情報が多かったところ、タブに分けることで1ページあたりの情報密度を調整することができました。

例えばJAL Payは、今回のリリースで従来は奥まった階層にあった決済用のバーコードを、ホーム画面上から直接アクセスできるようにし、より決済しやすいデザインになりました。ステイタスについても、制度の紹介ページや特典の参加登録につながる導線を設けています。お客さまによって、「ステイタスを知りたい」「少額決済ならJAL Payをつかいたい」など目的はさまざまです。その違いに対応できる構成にしたことが大きかったと思います。
――リニューアル後、ユーザーの行動に変化はありましたか。
JAL担当:ユーザーの行動がどのように変わったかは、まだこれから詳しく見ていく段階です。ただ、面として独立したことで、JAL Payについては「つかいやすくなった」という声をいただくようになりました。アプリリニューアルと同時にキャンペーンも開始したため、その効果も含めて、アプリをご利用いただく機会は広がっていると感じています。

また、アプリの邪魔にならないように、細めのバナーとして広告枠を配置しました。アプリを開いてすぐに自然に見える位置へ入れることで、広告としての接点をつくりながら、ユーザー体験を損なわないバランスを意識しています。
単に情報量を増やすのではなく、ユーザーがその場で何をしたいのかに応じて、見せる情報を整理する。今回のUI/UX刷新では、その方針が徹底されました。
松田:情報整理を進めるうえでは、業務側の事情と、ユーザー目線で見たときの使いやすさの両方を考える必要がありました。JAL社内には「これを掲載したい」という要望がたくさんあります。そのなかで、どういう見せ方・UX設計であれば、生活者目線・ユーザー目線で見たときに日常のなかで意識が向くのか、デザイナーとも壁打ちしながら進めました。
影響範囲の大きいアプリだからこそ、変化を一緒に考えていける面白さがありましたね。
Sun*を選んだ理由は「くみ取ってくれる姿勢」
――開発パートナーとしてSun*を選んだ経緯を教えてください。
JAL担当:アプリ立ち上げ時からSun*には開発部分を担っていただいていました。今回のリニューアルでも、デザインも含めて一気通貫でお願いできる点は大きなメリットだと考えていました。
一方で、費用面も含めて適切かどうかを確認するため、複数社にお声がけして相見積もりを取りました。そのなかでSun*にも、選択肢の一つとして提案をお願いしました。
――他社も候補にあったなかで、Sun*に決めたポイントは何でしたか。
JAL担当:正直に言うと……最初の提案プレゼン後、他社にしようという動きもありました。ただ、こちらの与件がまだ十分に固まっていなかったこともあり、決め手に欠けていたんです。
改めて再提案をお願いしたところ、Sun*は内容をしっかりブラッシュアップしてくれていました。
こちらの課題感をくみ取り、具体的な提案に落とし込んでいただけたことに感銘を受けました。提案が終わったときには、チーム内で「Sun*がいいね」という反応になりましたね。

――最初にSun*と話したときの印象はいかがでしたか。
JAL担当:企業によってカラーが違うなかで、Sun*は他社に比べて寄り添ってくれる印象がありました。方向性がまだ明確でない状態でも、課題の詳細をヒアリングしてくださる姿勢を感じました。
JALには、システムに精通しているメンバーが多いわけではないので、質問しやすいか・話しやすいかは非常に重要です。こちらの状況を聞き入れてくれる姿勢があることは、ありがたいポイントでした。
短納期を可能にした、デザインと開発の密な連携
――今回のリニューアルは、スケジュール面でも厳しいプロジェクトだったと聞いています。
タイトなスケジュールのなかで、リリース直前までブラッシュアップできたのはなぜでしょうか。
JAL担当:デザインだけではなく、開発の部分もSun*に担っていただいていたことが大きいです。デザインミーティングにも開発の方が同席していたので、「こういうデザインをやりたい」という相談に対して、開発の観点からスケジュール上可能かどうか、その場でクイックに回答していただけました。
リリース直前にもデザインの手戻りがありましたが、Sun*側で開発とデザイナーが連携して、素早く対応してくれました。BTC(Business/Technology/Creative)の観点が密に連携する、ワンチーム体制であったことが大きな要因だと思います。
左:Sun*からJALへ出向して働く松田
松田:今回、デザインもSun*で請け負ったため、開発とデザインの連携をスムーズにできたことは大きかったです。JALさんとの定例でも、Figmaを見ながらクイックに確認を進めました。
また設計フェーズでは、PMメンバーがSun*ベトナムに行って、現地メンバーとも確認を進めるなど、短納期で進めるための体制づくりも意識していました。ベトナム側の稼働も大きかったです。
JAL担当:アプリ開発というと、デザインをすべて固めてから開発に進むイメージがありました。でも今回は、決まった部分から細かく切り出して開発に着手していました。そのやり方でなければ間に合わなかったと思います。
ピンチのたびに感じた「一緒に乗り越える」姿勢
――ワンチームだと感じたのは、どんな場面でしたか。
JAL担当:納期が近づくほど、本当に間に合うのか不安になる場面がありました。アプリリニューアルだけでなく、JAL Payのバーコード決済機能のリリースも予定していたのですが、リリース直前になって調整事項が発生したんです。
リリースに間に合うのかという話になったときも、Sun*側で「このやり方であれば進められる」というパターンをいくつか考えてくださいました。壁に直面したときに、どういう手法で進めるかを一緒に考え、ミーティングで方針を決め、何とか間に合わせていく。その積み重ねがありがたかったです。

松田:複数のベンダーが関わっているアプリなので、一つの調整がアプリ全体に影響することもあります。他のベンダーが開発している機能を取り入れるなかで、接続部分に課題が出ることもありましたし、JALさんの各部署からチェック後に戻しが来て、デザインが変わることもありました。そうした前提も踏まえながら、どう進めるかを考えていきました。
JAL担当:JALフィロソフィーにも「ベクトルを合わせる」という考え方があります。みんなで同じ方向を向いて、何とかリリースしようという一体感を、ピンチのたびに感じました。あきらめずに、一緒に乗り越えてくださったと思います。
Sun*のみなさんが正直にいろいろ話してくれたので、コミュニケーションが取りやすかったですね。
リリース後も続く、伴走するパートナーシップ
――今回の取り組みを振り返って、最もよかったと思う点は何ですか。
JAL担当:制作の部分も担っていただけることで、スムーズなコミュニケーションが取りやすかったことです。課題感も話しやすく、リニューアル後も伴走していただくなかで、アプリに関する相談を何でもできると感じています。
デザインを変えるという大きな目標をかなえた後も、伴走支援をしてくださっています。アプリはリリースして終わりではなく、その後もいろいろな対応が発生します。システムにおいては、いかにクイックにコミュニケーションを取れるかが大事だと思うので、Sun*がパートナーでよかったです。
今回のように、一気通貫で開発をお願いしたい企業には、Sun*がフィットすると思います。デザインだけでなく、WebのLPやバナー制作なども含めて相談できます。実際、アプリリニューアルキャンペーンのLPもSun*に一部お願いしました。アプリの世界観やトーン&マナーに合わせて作っていただけたので、販促担当者からもバナー制作の依頼がありました。
システムに不安がある企業、社内に専門知識が十分にない企業にとっても、きめ細やかにコミュニケーションを取りながら、リリース後のアフターフォローまでしてくれるパートナーは心強いと思います。

――今後、このアプリをどのように発展させていきたいですか。
JAL担当:アプリは、何か用があって開くツールだと考えています。だからこそ、いかに身近に感じていただけるか。そして、そもそも開いていただくための仕掛けをどうつくるかが重要です。
こうした部分に対しても、Sun*はしっかり提案してくださると思います。日常のなかでJALに触れていただき、その先の旅や体験につなげていく。そのための接点として、これからもJALマイレージバンクアプリを育てていきたいです。
