こんにちは。Sun Asterisk クラウド支援サービスチームです。
老朽化が進むレガシーシステムへの対応策として、AIを活用したモダナイゼーションが注目されています。
本記事では、AIを活用してレガシーシステムを刷新する具体的なアプローチや、導入によるメリット、プロジェクトを成功へ導くための注意点を解説します。技術的負債の解消をお考えのご担当者様は、ぜひ参考にしてください。
- レガシーシステムの定義と「2025年の崖」をはじめとする課題
- レガシーシステムの刷新にAIが注目されている理由
- コード解析・仕様書の復元・コード変換・テストなど、AIを活用できる工程
- AIでレガシーシステムを刷新するメリットと具体的な進め方
- AI活用による刷新で失敗しないための注意点
レガシーシステムとは
レガシーシステムとは、古い技術や独自の仕組みで長年運用され、現在のビジネス環境や最新技術への対応が難しくなっているシステムのことです。1980年代以降に利用が広がったメインフレームやオフコンなどが該当し、時代が進むにつれて構築されたオープン系システムであっても、老朽化や度重なる改修によってブラックボックス化したものは同様に扱われます。
課題のひとつは、当時の仕様を把握している技術者の高齢化や人材不足に加え、システムの複雑化によって、全体像を把握できる担当者が限られていることです。
経済産業省が2018年に公表した「DXレポート」では、レガシーシステムがDX推進の足かせとなる問題を「2025年の崖」として指摘しました。2025年を過ぎた現在もこの課題は続いており、IPA(情報処理推進機構)は2025年5月に「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」を公表し、レガシーシステムからの脱却に向けた提言をまとめています。
※参考:経済産業省|DXレポート|20180907_02.pdf
※参考:IPA|レガシーシステムモダン化委員会
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なぜ今、レガシーシステムの刷新にAIが注目されるのか
従来のレガシーシステム刷新は、多額の費用や多くの工数がかかるため、着手しにくいケースがありました。しかし、近年の生成AIなどの技術によって、刷新の進め方も変わりつつあります。
注目される理由のひとつは、これまで人が手作業で行っていたソースコードの解析、ドキュメントの復元、別言語への移行といった工程を、AIによって効率化できる点です。ブラックボックス化した複雑なシステムでも、AIを使ってコードの構造や関連情報を分析することで、移行にかかる期間や作業負担を抑えやすくなっています。
また、深刻なIT人材不足や「2025年の崖」と呼ばれる課題に対し、限られたリソースでもシステム刷新を進める手段として、AIの活用が注目されています。
※参考:経済産業省|DXレポート|20180907_02.pdf
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レガシーシステム刷新でAIを活用できる工程
AIはレガシーシステム刷新のさまざまな工程で活用できます。ここでは、代表的な4つの工程を紹介します。
ソースコードの解析と処理内容の可視化
長年の改修で複雑化したソースコードをAIで解析し、処理の流れやプログラム間の依存関係を把握します。有識者が手作業で読み解いていた工程を支援でき、改修時の影響範囲の特定にも役立ちます。結果として、既存システムの構造を把握しやすくなり、刷新計画の検討にも活用できるでしょう。
仕様書・ドキュメントの復元
仕様書が残っていない、または実装と食い違っているシステムでも、コードをもとにAIで処理概要や仕様書のたたき台を作成できます。作成した内容は、エンジニアや業務担当者がレビューした上で整備します。
新しい言語・フレームワークへのコード変換
古いバージョンの言語やフレームワークで書かれたコードを、新しい環境に合わせて書き換える作業をAIで支援します。変換結果には誤りが含まれる可能性があるため、テストとレビューを前提に進めます。
その際には、既存の処理や業務要件を維持できているかを確認しながら、段階的に移行することが重要です。
テストケースの作成とテスト自動化
既存システムの挙動をもとにテストケースを作成し、移行前後で結果が一致するかを確認する作業にもAIを活用できます。テストの設計や実行を効率化することで、移行後の不具合を早期に発見し、システムの品質確保にもつなげられます。
レガシーシステムをAIで刷新する4つのメリット

レガシーシステムの刷新に生成AIなどを取り入れることで、従来のモダナイゼーションで対応に時間がかかっていた課題にも取り組みやすくなります。ここからは、AIを活用してシステムを近代化させることで得られる具体的なメリットを4つ紹介します。
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コスト削減
レガシーシステムを刷新すると、運用・保守にかかるコストの削減につながります。古いシステムは維持管理や障害対応に手間がかかり、担当者の負担が大きくなりやすいためです。新しい環境へ移行して運用を効率化できれば、保守に必要な人員や作業時間の削減も見込めます。
さらに、AIを活用することで、従来は有識者が手作業で行っていたソースコードの解析やドキュメント作成の一部を効率化できます。刷新プロジェクトの調査・移行工程にかかる工数を抑え、開発コストの削減にも役立つでしょう。
属人化の解消
レガシーシステムの刷新は、特定の担当者に知識や作業が集中する属人化の解消にもつながります。古いシステムでは、仕様や運用方法が十分に文書化されておらず、担当者の経験や知識に頼っているケースも少なくありません。
AIを活用すれば、ソースコードから仕様書や処理概要のたたき台を作成でき、有識者のレビューを経て、暗黙知を共有可能な情報として残せます。このようにシステムの仕様や業務手順を整理しておけば、担当者が変わっても円滑に業務を引き継ぎやすくなるでしょう。
移行リスクの低減
早期からレガシーシステムの刷新に着手することで、将来的な移行リスクを抑えやすくなります。古いシステムを使い続けると、技術者の高齢化やサポート終了が重なり、刷新が必要になった段階で対応が難しくなるリスクは避けられません。
しかし、AIを活用してプログラム間の依存関係や変更による影響範囲を分析すれば、移行時のリスクを把握しやすくなります。その結果、優先順位をつけて段階的な移行計画を立てられ、想定外の不具合が発生するリスク低減にもつながるでしょう。
スピード向上
レガシーシステムを刷新すると、新しい機能の追加や業務改善に取り組みやすくなります。古いシステムでは、複雑な構成や古い技術によって改修に時間がかかる場合があります。しかし、AIでソースコードの解析や変換、テストを支援すれば、刷新作業の効率化が進み、移行完了までの期間短縮も期待できるでしょう。
刷新後は、新機能の追加や業務改善にも早期に着手しやすくなり、市場の変化やビジネス上の要件への対応も可能になります。
AI活用によるレガシーシステム刷新の進め方

AIを活用したレガシーシステムの刷新では、既存システムの分析から移行、テストまでの各工程でAIを活用できます。ここでは、AIを活用してレガシーシステムを刷新する具体的な進め方を紹介します。
1.現行システムと業務フローの棚卸し
レガシーシステムの全容を把握するため、まずは既存のソースコードや仕様書、日々の業務フローを棚卸ししましょう。長年の改修でブラックボックス化した現状を可視化し、技術的負債が蓄積している箇所を把握することが出発点です。
2.AI活用領域の特定とPoCでの効果検証
棚卸しの結果をもとに、コード解析やドキュメント生成など、AIを活用する工程を選定します。いきなり全体へ導入せず、小規模な実証実験(PoC)で精度や費用対効果を検証し、運用上の課題を整理しましょう。
3.段階的な移行計画の策定(リスク分散)
レガシーシステムを一度に置き換えるのではなく、影響範囲の小さい機能やモジュールから段階的に移行することが大切です。一斉にリプレイスすると、トラブルが発生した際に業務全体へ影響が及ぶ可能性があります。
問題が発生した場合も、影響範囲を抑えながら対応できます。
4.データ移行とテストの実施
新しいシステムへ移行する際は、既存データを整理した上で移行し、正常に動作するかを十分にテストする必要があります。データの欠損や誤りを確認するとともに、実際の業務で想定どおりに利用できるかも確かめましょう。
AIによるテストの自動化も活用しながら、問題を早期に発見して本番稼働に備えることが大切です。
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5.運用開始後のモニタリングと改善
システムの刷新後も、新しい環境が現場で定着しているかや、パフォーマンスを継続的に確認することが重要です。現場からのフィードバックを素早く反映しながらAI活用の幅を広げ、さらなる業務効率化と持続的なシステム改善へとつなげましょう。
AI活用によるレガシーシステム刷新で注意すべき5つのポイント
AIを活用したレガシーシステムの刷新は、効率化や開発期間の短縮が期待できる一方、AIの出力をそのまま利用すると、既存システムの仕様や業務要件を正しく反映できない可能性があります。ここでは、AIを活用して刷新を進める際に注意したい5つのポイントを解説します。
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ブラックボックス状態のまま着手しない
全容を把握できていない古いシステムに対して、事前の解析を省いてAIによる自動変換や刷新を進めるのは大きなリスクがあります。予期せぬ不具合やデータ破損を防ぐためにも、まずは既存のコードや仕様を分析してシステムの構造を可視化し、全体像を把握した上で刷新に着手しましょう。
AIに過度に依存せず人によるレビューを組み込む
生成AIが作成したコードやドキュメントには、誤りやセキュリティ上の脆弱性が含まれる可能性があります。AIの出力をそのまま使わず、エンジニアによるレビューを工程に組み込みましょう。
データ品質が低い場合は整備を先行する
旧システムに蓄積されたデータの不備や重複が多いままAIモダナイゼーションを適用すると、移行先でもトラブルの原因になります。移行後のトラブルを抑えるためにも、あらかじめデータのクレンジングや品質改善に取り組むことが大切です。
単純な置き換えで終わらせず業務改善につなげる
単に古いプログラムを新しい言語やクラウド環境へ移すだけでは、投資に見合う効果を得られない場合があります。AIの導入を機に既存の非効率な業務プロセスそのものを見直し、組織全体の生産性向上につなげる視点を持ちましょう。
社内の理解・協力体制を事前に構築する
システムの刷新はIT部門だけでなく、現場の業務担当者の協力も必要です。AI活用の目的や移行スケジュールを事前に共有し、現場からの意見を取り入れながら、関係部署が連携して進められる体制を整えましょう。
Sun*のAIモダナイゼーション支援「Regen」
Sun*では、AIを活用したモダナイゼーション基盤「Regen(AI Modernization Platform)」を提供しています。Regenは、既存システムの仕様と動作を可視化し、AIエージェントを統制・検証しながら、業務を変えずにレガシーシステムを刷新する仕組みです。
仕様書がなくても現状を可視化
コードと実際の動作を解析し、既存システムの仕様を可視化します。20以上のテンプレートを用いて、刷新に必要な観点と粒度で仕様書を作成し、担当者の暗黙知を移行可能な仕様として整理します。
AIの生成と人の判断を組み合わせた品質管理
AIが下書きを高速に生成し、AIと人によるレビュー、自動テストを経て品質を確保します。新旧システムで同じ業務結果になるかを確認するパリティテストで、差分をマージ前に検出します。各工程の品質ゲートでは、シニアSEが「進める・止める・戻す」を判断します。
小さく始めて段階的に広げる進め方
まず3〜4週間のアセスメントで構造・仕様・リスクを可視化し、次の4〜8週間で代表モジュールを移行して同等性を確認します。その後、モジュール単位で段階的に対象を広げます。各フェーズの終わりに受け入れ判定があり、途中で止めることもできます。
対応する主な技術スタックは、PHP(CodeIgniter/旧Laravel)、Java(Struts/旧Spring)、.NET(ASP.NET WebForms)、Ruby(初期Rails)です。それ以外の言語や独自フレームワークも、アセスメントの段階で対応を検討します。
まとめ
レガシーシステムの老朽化やIT人材不足が課題となる中、生成AIを活用したモダナイゼーションは、技術的負債への対応手段のひとつです。ブラックボックス化したシステムの棚卸しから移行、人によるレビュー、業務プロセスの見直しまで一貫して行うことが、システム刷新を進めるポイントです。
株式会社Sun Asteriskでは、AIを活用したレガシーシステムの刷新について、構想策定からPoC、本番展開、運用まで支援しています。自社のシステムにどのようなアプローチが最適かお悩みの場合は、ぜひレガシーシステム刷新に関するお役立ち資料をご覧いただき、安全で効率的なシステム刷新に向けた第一歩としてご活用ください。