こんにちは。Sun Asterisk クラウド支援サービスチームです。
レガシーシステムをどのような目的で刷新すべきか、判断に悩む担当者は少なくありません。本記事では、システム刷新の定義から社会的背景、主な目的、行わない場合のリスク、成功に導く進め方まで整理して解説します。
- システム刷新の定義と、リプレースやモダナイゼーションとの違い
- 「2025年の崖」などシステム刷新が急務とされる社会的背景
- 技術的負債の解消やDX推進など、システムを刷新する3つの目的
- レガシーシステムを使い続けることで生じる事業停滞やセキュリティリスク
- 現状分析から要件定義まで、システム刷新を成功に導くためのステップ
そもそもシステム刷新とは?
ここでは、システム刷新の基本的な意味と、注目される背景を整理します。
システム刷新の定義
システム刷新とは、老朽化やブラックボックス化が進んだ既存のシステムを、新しい技術や設計思想に基づいて作り直す取り組みを指します。単なるハードウェアやソフトウェアの入れ替えにとどまらず、業務プロセスや組織体制まで見直す点が特徴です。対象は基幹系システムに限らず、周辺の業務システムまで含まれる場合が多くあります。
システム刷新が必要とされる社会的背景(2025年の崖)
経済産業省は2018年に公表したDXレポートの中で、レガシーシステムを放置した場合、2025年以降に最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性を示しました。同レポートでは、既存システムの維持管理費がIT予算の9割以上を占める企業も出てくると指摘されています。
※参考:経済産業省「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」
さらにIPAが2025年に公表した調査では、日本企業のレガシーシステムの状況について、刷新がすでに完了している企業と、ほとんど刷新が進んでいない企業の双方が多く、対応状況の二極化が明らかになりました。同調査によると、2022年度から2023年度にかけては刷新が進んだ企業の割合が増加しましたが、2023年度から2024年度にかけては同様の傾向が見られず、刷新の停滞がうかがえます。
※参考:IPA「DX動向2025」
2025年、株式会社SmartHRの実態調査によると、「完全に乗り越えられた」と回答したのは全体のわずか7%であり、「深刻な課題を抱える」および「事業に深刻な影響」の回答は全体の40%にも上りました。
こうした状況を背景に、システム刷新は多くの企業にとって避けて通れない経営課題といえます。
※参考:【SmartHR、「2025年の崖」総括とDXに関する実態調査】 崖を「乗り越えられた」企業はわずか7%。 DX推進の鍵は“人事と情シスの連携”、76%が重要性を認識するも「部門の壁」に課題
リプレースやモダナイゼーションとの違い

システム刷新と混同されやすい言葉に、リプレースとモダナイゼーションがあります。
リプレースは、既存システムを同等の機能を持つ新システムに置き換える作業を指し、業務内容の見直しを伴わない場合が多い点が特徴です。モダナイゼーションは、既存資産を生かしながら段階的に最新技術へ移行する手法として位置づけられます。一方でシステム刷新は、業務プロセスや経営戦略との整合まで含めて再設計する、より広い概念として使われています。
| 用語 | 主な内容 | 業務プロセスの見直し |
|---|---|---|
| リプレース | 同等機能への置き換え | 伴わない場合が多い |
| モダナイゼーション | 既存資産を生かした段階的な移行 | 部分的に伴う |
| システム刷新 | 経営戦略との整合を含む再設計 | 前提として伴う |
上記のとおり、3つの取り組みは対象範囲や目的が異なるため、混同したまま進めると必要な予算や体制の見積もりを誤る可能性があります。たとえば、実際には業務プロセスの見直しまで必要な状況にもかかわらず、リプレースの感覚で予算やスケジュールを組んでしまうと、開発の途中で計画の練り直しが発生しやすくなります。
逆に、限られた範囲の改修で十分な場面で大規模なシステム刷新を選んでしまうと、費用や期間が想定より膨らむ場合もあります。プロジェクトを始める前に、自社が目指すのはどの取り組みに該当するのかを、経営層と現場の双方で整理しておくことが望ましいといえます。
併せて読みたい:モダナイゼーションとは?メリットや5つの手法・事例までわかりやすく解説
システム刷新を行う主な目的
ここでは、企業がシステム刷新に取り組む代表的な3つの目的を解説します。目的によって、重視すべきポイントも変わります。
併せて読みたい:基幹システム刷新の進め方|老朽化のリスクに備えDX推進を実現する手順も解説
技術的負債の解消と保守運用コストの削減
長年にわたり改修を重ねたシステムは構造が複雑化し、特定の担当者しか把握できないブラックボックス状態に陥りやすいと言われています。この状態は技術的負債と呼ばれ、放置するほど保守費用が膨らむ傾向があります。システム刷新によって構造を整理すれば、保守運用にかかる費用や人手を抑えられ、その分を他のリソースに振ることが可能です。
業務プロセスの最適化による生産性の向上
レガシーシステムは、業務の実態と機能が乖離している場合が少なくありません。刷新のタイミングで現場の業務フローを見直すと、二重入力や手作業による確認といった非効率な工程を減らせます。結果として1人ひとりの生産性が高まり、限られた人員でも業務をこなせる体制が整います。
変化に強いIT基盤の構築によるDXの推進
クラウドやAPI連携を前提とした柔軟なIT基盤を整えると、新しいサービスや技術を取り入れやすくなります。市場環境や制度の変化に応じて機能を追加・変更しやすい構造にしておけば、DXの土台としても機能します。硬直化した基盤のままでは、新規事業のスピードにシステムが追いつかない事態も起こり得るでしょう。
実際に、新規事業開発部門とシステム開発部門が早い段階から連携し、拡張性を意識した基盤設計を進めている企業ほど、新サービスの立ち上げまでの期間が短い傾向にあります。基盤づくりの段階から事業側の要望を取り入れることが、変化への対応力を高める近道といえます。
システム刷新を行わないことによるリスク
システム刷新を先送りした場合に生じる、代表的なリスクを2点解説します。事業への影響をあらかじめ把握しておくことは、刷新の優先度を判断する材料になったり、経営層への理解を得る要素になったりします。
既存システムのレガシー化による事業停滞
システムを刷新しないまま使い続けると、仕様を把握する担当者の退職や異動によって、改修そのものが難しくなる場合があります。新しい制度やサービスに対応できず、機能追加のたびに応急的な改修を重ねることで、システムはさらに複雑化します。新規事業の立ち上げや既存事業の拡大が遅れる要因にもなりかねません。
併せて読みたい:レガシーシステムとは?問題点と脱却の進め方を実務目線で解説
セキュリティリスクの増大と事業継続への影響
レガシーシステムは、開発元のサポートが終了し、セキュリティパッチの提供が止まっている場合があります。この状態は外部からの攻撃を受けやすく、情報漏えいやシステム停止につながるおそれがあるため注意が必要です。基幹システムが停止すれば、受発注や決済など事業の根幹に関わる業務が滞り、取引先や顧客からの信頼を損なう可能性も否定できません。
近年は取引先からセキュリティ対策の状況を確認されるケースも増えており、レガシーシステムを使い続けていること自体が、新規の取引開始や契約更新の妨げになる場合もあります。
システム刷新を成功させるための進め方

システム刷新を計画的に進める3つのステップを解説します。
現状の課題分析と「あるべき姿(目的)」の定義
まず既存システムの機能や構成、運用体制を洗い出し、どこに課題があるかを可視化します。その上で、刷新によって実現したい業務のあるべき姿を、経営層と現場の双方で共有しておくことが重要です。目的があいまいなまま進めると、開発の途中で方針がぶれやすくなります。
刷新手法の選定と移行計画の立案
課題とあるべき姿が明確になったら、フルスクラッチでの再構築、パッケージソフトの導入、クラウドサービスへの移行など、複数の手法を比較した上で自社に合った方法を選びましょう。また、一度に全てを切り替えるのではなく、優先度の高い機能から段階的に移行する計画を立てると、業務への影響やリスクを抑えることが可能です。
併せて読みたい:基幹システムのクラウド化とは?導入のメリットや注意点を解説
現場の声を反映した要件定義とベンダーの選定
システムを実際に使う現場の意見を要件定義に反映させないと、刷新後にかえって使いにくくなる場合があります。業務担当者へのヒアリングを重ねながら要件を固め、開発を委託する場合は、実績や対応領域、保守体制などを比較した上でベンダーを選定してください。
システム刷新で失敗しないためのポイント
最後に、システム刷新のプロジェクトを失敗させないためのポイントを解説します。
目的の形骸化を防ぐための経営層の積極的な関与
プロジェクトが長期化すると、当初の目的が薄れ、システムを新しくすること自体が目的化してしまう場合があります。経営層が定期的に進捗を確認し、事業戦略との整合性をチェックする体制を維持すると、目的からのずれを早期に修正しやすくなります。
データ移行の精度向上と徹底した運用テスト
刷新プロジェクトでは、既存システムからのデータ移行で不具合が起きやすいと言われています。移行前にデータの形式や重複を整理し、移行後は本番相当の環境でテストを重ねることが必要です。テストが不十分なまま稼働を始めると、業務停止や誤ったデータに基づく判断につながるおそれがあります。
まとめ
システム刷新は、技術的負債の解消や生産性の向上、DX推進の基盤づくりにつながる取り組みです。放置すれば保守コストの増大やセキュリティリスクの高まりを招くため、多くの企業にとって計画的な対応が求められています。
システム刷新を進める際は、現状分析とあるべき姿を定義し、段階的な移行計画と現場を巻き込んだ要件定義を経て、経営層の関与のもとで進捗を管理することが重要です。
株式会社Sun Asteriskでは、基幹業務システムの刷新に取り組む企業向けに、目的の整理から進め方までをまとめた「システム改善の考え方とアプローチ」を公開しています。業務プロセス・UI/UX・システム構造という3つの切り口から、現場の実態に即した改善の考え方を解説しています。システム刷新の目的を整理し、経営層への説明材料を準備する際に、ぜひご活用ください。
よくある質問
Q システム刷新とはどのような定義ですか?リプレースなどとは何が違いますか?
Q システム刷新を行う場合、最初に何から始めるべきですか?
Q システム刷新プロジェクトを進めるための具体的な流れを教えてください。
Q システム刷新を失敗させないために気をつけるべきポイントは何ですか?
Q システム刷新を完了するまでに必要な費用や期間はどれくらいですか?
Q システム刷新を検討する際、外部ベンダーからどのようなサポートを受けられますか?
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