
こんにちは。Sun Asterisk クラウド支援サービスチームです。
老朽化した基幹システムのクラウド移行やリプレイスを検討する際、避けて通れないのがデータ移行です。進め方を誤ると、データの不整合や業務停止といったトラブルにつながる恐れがあります。
特に、過去のシステム刷新でトラブルを経験した企業や、新規事業や組織再編にともなって複数システム間のデータ統合が必要になった企業にとって、失敗しない移行の手順を押さえておくことは重要です。
本記事では、基幹システムのデータ移行の基本から、事前準備、3つの移行方式、具体的な手順、よくある失敗例と対策まで網羅して解説します。
- 基幹システムのデータ移行の目的と重要性
- データ移行を成功に導くための事前準備の進め方
- システムの規模や影響度に合わせた3つの移行方式の特徴
- 要件定義から本番移行までの具体的な3つのステップ
- データ移行でよくある失敗例とそれを防ぐための対策
基幹システムのデータ移行とは
基幹システムのデータ移行とは、老朽化した基幹システムに保存されているデータを新しいシステムへ正確に移し替える作業です。単純なコピーではなく、データの形式変換や不要データの整理も行います。
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データ移行の目的と重要性
データ移行のおもな目的は、新システムでも過去の業務データを継続して活用できる状態にすることです。移行が不十分だと、顧客情報や取引履歴が消失し、業務が止まる恐れがあります。
経済産業省が公表したDXレポート2.2では、企業のデジタル投資の内訳が旧レポート発表後も変化せず、既存ビジネスの維持・運営に約8割が充てられている状況が続いていると指摘されています。
老朽化した基幹システムの保守に投資が偏ったままでは、新たな価値創出へ経営資源を振り向けにくくなるため、データ移行を含むシステム刷新を計画的に進め、投資の配分を見直すことが重要な経営課題です。
※参考:経済産業省「DXレポート2.2」
移行対象となるデータの種類(マスタ・トランザクション)
移行対象のデータは、大きくマスタデータとトランザクションデータの2種類です。
- マスタデータ:顧客情報、商品情報、従業員情報など、比較的変化が少ない基礎データ
- トランザクションデータ:受発注履歴、入出金記録など、日々発生する取引データ
マスタデータは移行後の業務全体に影響するため、優先的な品質確認が求められます。トランザクションデータは件数が膨大になりやすく、移行方式の選び方が処理時間に直結します。
加えて、マスタデータとトランザクションデータの間には、参照関係が存在するケースが少なくありません。たとえば受発注履歴には顧客コードや商品コードが含まれており、対応するマスタデータが先に正しく移行されていないと、履歴データ側で不整合が生じます。
そのため、移行の順序を検討する際には、マスタデータを先に移行し整合性を確認した上で、トランザクションデータへ進める流れが基本です。
基幹システムのデータ移行を成功させる事前準備
移行を始める前の段階で、現状分析・体制構築・スケジュール策定の3点を固めておくと、後工程のトラブルを減らせます。事前準備を軽視したまま着手すると、想定外の手戻りが発生しやすくなります。
現状分析とデータ品質の棚卸し(データクレンジング)
移行前には、既存データに含まれる重複や誤入力、欠損値を洗い出す棚卸し作業が欠かせません。この作業はデータクレンジングと呼ばれ、不要なデータを除去し表記のゆれを統一する工程を含みます。品質の低いデータをそのまま移行すると、新システム上でも同じ不具合が再現されてしまいます。あわせて、現行システムのデータ構造やテーブル間のつながりも事前に整理しておくことが必要です。
プロジェクト体制の構築
データ移行は、情報システム部門だけで完結する取り組みではありません。実際に業務データを扱う現場部門や経営層、必要に応じて外部パートナーなど、部門を問わずに体制を組むことが望ましいです。
役割分担が曖昧なまま進めると、判断が遅れて工程全体に遅延が波及する恐れがあります。責任者・レビュー担当・現場確認担当を分けておくと、後工程の確認作業がスムーズに進みます。
社内に大規模なデータ移行の経験が少ない場合は、移行方式の選定やETLツールの導入支援など、専門知識を持つ外部パートナーへの相談も、体制構築の選択肢として検討するとよいでしょう。
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スケジュールの策定
スケジュールには、要件定義からテスト、本番移行、移行後の並行確認までの期間を余裕を持って組み込む必要があります。特にテスト期間を削ると、不具合の検出漏れにつながりやすくなります。また、業務への影響を抑える上で、決算期や繁忙期を避けて移行時期を検討することも重要です。
基幹システムのデータ移行における3つの移行方式

データ移行の方式は、おもに一括移行方式・段階移行方式・並行運用方式の3種類です。それぞれ移行にかかる期間やリスクの性質が異なるため、システムの規模や業務への影響度に応じて選ぶことが大切です。
一括移行方式(ビッグバン方式)
一括移行方式は、あらかじめ定めた移行日に全てのデータをまとめて新システムへ切り替える方法です。短期間で移行を終えられる一方、切り替え当日にトラブルが起きると業務全体が止まる恐れがあります。事前のリハーサルを重ね、切戻し手順まで準備しておくことが重要です。
段階移行方式
段階移行方式は、部門や機能ごとにデータを分割し、複数回に分けて移行する方法です。一度に扱うデータ量が少ないため、不具合が起きても影響範囲を限定しやすくなります。ただし、新旧システムが混在する期間が生じるため、データの整合性を保つ仕組みをあらかじめ検討しておく必要があります。
並行運用方式
並行運用方式は、新システムと旧システムを一定期間同時に稼働させ、双方の結果を突き合わせながら移行を進める方法です。データの正確性を重視する金融業や会計業務などで多く採用されています。運用コストと工数が増える点はデメリットですが、不具合を早期に見つけやすいメリットがあります。
基幹システムのデータ移行手順

データ移行は、要件定義、変換ルールの定義、テストと本番移行という3つのステップで進めるのが一般的な流れです。各ステップについて解説します。
ステップ1:要件定義とデータマッピングの設計
最初のステップでは、旧システムのどの項目を新システムのどの項目に対応させるかを定める、データマッピングを作成します。項目名や桁数、文字コードの違いを洗い出し、変換ルールの土台を作る工程です。この段階での抜け漏れは、後工程のテストで多くの不具合として表面化するため、時間をかけて確認する必要があります。
併せて読みたい:システム開発における要件定義の基本と成功の秘訣|作成手順と5つのコツを解説
ステップ2:変換ルールの定義とETLツールの活用
マッピングをもとに、データの形式を変換する詳細なルールを定義します。抽出・変換・格納の3つの工程を担うETLツールを活用すると、大量データの変換作業を自動化でき、人の手による転記ミスを減らせます。変換ルールは一度作って終わりではなく、テスト結果を踏まえて修正を重ねる前提で設計しておくと、工程が進めやすくなります。
ステップ3:テスト・リハーサルの徹底と本番移行
本番移行の前には、実データに近い環境でテストとリハーサルを複数回行います。件数の一致確認だけでなく、金額や日付など重要な項目が正しく変換されているかを個別に確認する作業も必要です。リハーサルで洗い出した課題を解消した上で本番移行に進むことで、当日のトラブルを最小限に抑えられます。
基幹システムのデータ移行でよくある失敗例と対策
データ移行の失敗は、コストや納期だけでなく業務停止という形で表れやすい問題です。国内のシステム開発プロジェクトでは、コスト・納期・品質のいずれかで計画から外れる事例が全体の半数以上に及ぶとされており、事前の対策が欠かせません。
※参考:IPA「ソフトウェア開発データ白書2018-2019」
※参考:一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査報告書2026」
データの不整合・欠損による業務停止
移行後にデータの不整合や欠損が見つかると、受発注処理や請求業務が止まる恐れがあります。おもな原因は、移行前のデータ品質確認が不十分だったことや、マッピングの抜け漏れにあります。対策としては、移行前のデータクレンジングを徹底し、テスト段階で件数と金額を突合することが欠かせません 。
想定外の工数増加とスケジュール遅延
移行対象のデータ量や、関連システムとの連携範囲を過小評価すると、想定外の工数増加につながりやすくなります。
特に、長年の運用で複雑化した既存システムでは、仕様が文書化されておらず調査に時間がかかるケースも少なくありません。対策としては、事前調査の段階で余裕を持った工数を見積もり、外部の専門知識を持つパートナーの活用も選択肢に含めて検討する方法があります。
また、移行対象システムがクラウド環境への刷新を伴う場合は、クラウド事業者が提供する移行支援サービスや構築事例を参考にすることで、自社だけでは把握しにくいリスクを事前に洗い出せることも可能です。
まとめ
基幹システムのデータ移行は、事前準備・移行方式の選定・テストという各工程を丁寧に積み重ねることで、業務停止などのリスクを抑えながら進められる取り組みです。移行対象データの整理から本番移行後の確認まで、一貫した計画を持つことが、老朽化した基幹システムを安全に刷新するための土台になります。
データ移行を伴う基幹システムの刷新では、移行方式の選定やクラウド環境への切り替えなど、社内の知見だけでは判断が難しい場面も少なくありません。移行の進め方に不安がある場合は、専門的な知見を持つ支援会社への相談も選択肢の1つです。
株式会社Sun Asteriskは、AWSを活用したレガシーシステムのモダナイゼーションを支援しています。仕様や依存関係、セキュリティリスク、改修スピードの低下など、技術が古いことに限定しない脱却方法に知見があります。
よくある質問
Q 基幹システムのデータ移行とはどのような作業ですか?
Q 基幹システムのデータ移行を進める際、まず何から着手すべきですか?
Q 基幹システムのデータ移行はどのような手順で進められますか?
Q データ移行でよくある失敗例やトラブルを防ぐための注意点は何ですか?
Q 基幹システムのデータ移行にかかる費用や期間の目安はどのくらいですか?
Q データ移行プロジェクトの体制構築や外部パートナー活用のポイントは何ですか?

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