What we do
上野文化の杜 / LINE Pay
日本を代表する上野の
文化芸術の価値を顕在化させる
上野文化の杜新構想実行委員会(以下、上野文化の杜)、LINE Pay社と共に、入場券をスマートフォンアプリでデジタル化した実証実験の取り組みをご紹介します。本プロジェクトはLINE 公式アカウントと連携したアプリで、上野公園内にある美術館・博物館等とエリア一体で文化クラスターを形成し、文化芸術の振興に資するまちづくりを加速させていくことを目的としたプロジェクトです。
※政府の要請により、新型コロナウイルス感染防止のため、当面の間は臨時休館または予約制での受け入れとなっております。そのため、「TOKYO-UENO WONDERER PASS(トーキョー・ウエノ・ワンダラー・パス)」は現在(2020年10月時点)利用を休止しております。
クライアントの課題
紙のパスポート型共通入場券を
デジタル化したい
デジタル化したい
東京オリンピックの開催予定であった2020年は、多彩な文化プログラムを展開し、積極的に発信することで、日本が世界の文化交流の拠点としてさらなる飛躍する契機となることを期待されていました。
上野周辺は、桜の名所としても知られる上野公園・不忍池、日本を代表する博物館、美術館、動物園などの文化施設、そして芸術系大学・江戸時代の建造物などが集中しており、日本を代表する文化芸術エリアとなっています。
上野文化の杜のコンセプトムービー
「上野文化の杜」とは、上野エリアの機関・団体が相互に連携・協力し、それぞれが保有する文化芸術資源の潜在価値を顕在化させて、上野公園を「文化の杜」にすることを目的に、文化庁が推進しているプロジェクトです。
今回Sun*が開発をご支援したプロジェクトは、上野エリアの文化施設へのパスポート型共通入場券「UENO WELCOME PASSPORT」を参考に、紙からLINEアプリへとデジタル化し、「TOKYO-UENO WONDERER PASS」としてリニューアルする実証実験でした。
紙の共通入場券 UENO WELCOME PASSPORT
Sun*からの提案
LINE Pay社とのコラボレーション
実証実験では、LINE公式アカウントを開設し、上野公園周辺のバリアフリーマップ、公式サイトへ導線、上野公園を訪れる方へのガイド機能などを実装しました。また、上野公園にある複数の文化施設への入場チケットをLINE Payにて購入可能にし、チケットの使用もアプリ内で完結する仕組みも取り入れています。
お客様が創りたいアプリのコンセプトや提供価値を明確に持っていたため、要件定義のお手伝いからプロジェクトはスタートしました。要件定義やプロジェクトマネジメントは日本拠点のPMが中心となり、開発体制はPMを中心に、日本所属のUI/UXデザイナー、ベトナム拠点では、プロジェクトリーダー(BrSE)1名、PHPのエンジニア2名、インフラエンジニア1名、QA1名の、合計7名のチーム体制で臨みました。経験豊富な日本拠点のメンバーがプロジェクト全体を管理し、要件定義から画面デザイン、開発、インフラ構築までを一気通貫で対応できることは、Sun*のデジタル・クリエイティブスタジオの特徴でもあります。
TOKYO-UENO WONDERER PASSの開発体制図。クライアントは、日本拠点のPMとのみやりとりをしてプロジェクトが進行。要件定義とデザインは日本側が担当し、開発はベトナムチームが担当。
本アプリは、LINEが提供している開発者向けサービスのひとつである『LIFF(LINE Front-end Framework)』を使って開発した為、プロジェクトはLINE Pay社と協業しながら進行しました。現在は多くの公式LINEアカウントがLIFF仕様であり、基本的にWebビューで表示できるため、表現内容の制限が受けにくいことが特徴です。
PoCに適したAzureの開発環境で
工夫したこと
システムの運用にはMicrosoft Azureを使用しています。Azureを活用した理由は、本プロジェクトがPoC (Proof of Concept = 概念実証) であったためです。Azureは短期間で開発環境を用意することができ、また従量課金制で無駄なコストを省けるため、スピード感をもって新しいビジネスを立ち上げたいときや、 PoCを実施するには適した環境と言えます。
開発時に特に意識したこととしては、当初の要件だけでなく今後の展開も加味して柔軟に対応できるDBを目指し、基礎となる部分は日本側で構築しました。事前にこれをやったことで、開発中に発生した要件も軽微な変更(DBへの項目追加程度)で対応でき、結果として開発の品質とスピード向上に繋がりました。また仮想化においては、RailsやLIFFの最新バージョンアップが柔軟に行えるというメリットからDokerを利用しています。今後、新しい機能を使う際にも柔軟に対応できると考えています。
スピーディに構築ができ、従量課金でもあるAzureは、PoCを実施するには適している
Project Topic
プロダクト品質を高める
アジャイル型の開発手法
アジャイル型の開発手法
プロジェクト進行としては、要件定義や仕様策定に1ヶ月、ベースとなる機能開発に3ヶ月、そこから機能の変更・追加などアプリの完成度向上にに2ヶ月、全体で半年ほどの期間でネイティブアプリが完成しました。開発手法はウォーターフォール型ではなく、要件定義後も仕様変更に柔軟に対応できるアジャイル型の開発手法を取り入れています。
プロジェクトを円滑に進める為の工夫としては、開発に着手する前にUI/UXデザイナーがプロトタイプツールを使いモックアップを作成し、プロジェクトの初期段階で実際のスマートフォン上での動きや完成イメージを確認したことです。いわゆるプロトタイピングですが、このステップで気づく課題や改善アイデアはサービスやアプリケーションの価値・品質を高めるうえで、非常に重要なプロセスです。また同時に、開発後の機能追加や変更を減らすことにも繋がり、結果的にコストパフォーマンスの高い開発を実現することにも繫がります。
またSun*では、プロダクトの品質を高めるために、クライアントからの要件を形にするだけでなく、「ユーザーが求めている価値・機能は何か?」という視点から、現在地検索・キーワード応答・周辺施設やおすすめの展示を紹介する機能などをご提案いたしました。
紙のチケットではできない
ユーザーフレンドリーなデザイン
UI/UXの観点から工夫した点としては、一般的ではないデジタルチケットをより身近に感じてもらい、チケットを使うことの楽しみも大切にしたいという思いから、敢えてアナログチケットをモチーフにしています。チケットのもぎり部分は、お年寄りから若い方まで迷わず使えるインターフェイスにする、有効なチケット・使用済みチケットが直感的にわかるようにするなど、ユーザーにとってわかりやすさを重視したデザインしてます。
なお、紙のチケットをデジタル化することはユーザーの利便性を高めるだけでなく、ビジネス観点でも次のようなメリットが生まれています。
・上野エリアの魅力や展示会の情報をLINE上でユーザーに発信
・情報発信によって、リピーターを獲得し来場者とのエンゲージメントを構築
・訪日観光客の顧客体験を高める
残念ながら新型コロナウイルス感染予防のため、現在サービスは停止されていますが、上野の文化振興を推進していくアプリとして、今後の利用拡大が期待されています。
Client Voice
「上野エリアは日本を代表する大型文化施設が集中し、多様な文化芸術を楽しめる稀有なスポットである反面、そこで共通の入場インフラや情報発信インフラを運営しようと思うと、運営者や来場者の調整が非常に複雑です。Sun*様には、現場まで足を運んで多様な意見を汲み取った上で、使う側の視点を徹底したアプリを作り上げていただきました。新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、多くの来場者の方にアプリを活用していただける日を心待ちにしています」